マナカーブは右肩下がり

デュエルマスターズのビートダウンデッキ愛好家がカードを低姿勢で語るWebです。

7弾ドリームメイトを愛でる(2)

その1では、ドリームメイトのほぼ必須カードであったケンジ・パンダネルラやバンジョーについて考察した。こちらでは、デッキレシピを見る限りあまり採用率は伸びなかったものの、重要な役割を担っていた残りのドリームメイトを考察し(愛で)たいと思う。

7弾環境でのドリームメイトは従来の攻撃力MAXの「火自然速攻型」、ドリームメイトを自然のみ選択し、光のトリガーを加えて安定性も確保した「準自然単型」、速度で劣る環境デッキを迎え撃つためにドリームメイトをケンジ周辺にしぼり、トリガーを多く積んだ「4色受け型」が登場した。

特に「4色受け型」はバトルアリーナ3rdで決勝戦に進出するという快挙を成し遂げたが、そこには7弾のみというカードプールの限られた状態で如何に工夫を凝らせるかというプレイヤーの努力があり、またそれを可能にしたドリームメイトというデッキの奥深さがたしかにあった。

【2021.2.17】

ホップステップ・バッタン

デュエプレでのビークル・ビーはすべて種族がドリームメイトに一本化されて登場となり、それによってカード同士のシナジーがより強化された。基本的にサーチ能力やスリリング・スリーの対象になるため、カードパワーも上方修正されたといって良いと思う。

7弾で実装されたドリームメイト自体、ほとんど強化はされるにしろ、下方修正を受けたカードは2枚しかない。そしてなにを隠そう、その下方修正を受けたカードの1枚こそホップステップ・バッタンなのだ(もう1枚はサージェント・クワガタン)。

そのターンにドリームメイトを召喚していなければターンの最後に寂しくて自爆してしまう(かわいい)が、それは自分自身も効果の対象になるため意外にも使ってみると条件はゆるい。ビークル・ビーがドリームメイトに統合されたため紙以上にデッキのドリームメイトの比率が上がったことはこのカードが強化されたといえるだろう。

しかし一方で紙ではパワー7000だったのがパワー6000に下げられた。この調整が非常に絶妙で、もし7000のままだったらドリームメイトデッキの使用率はかなり高かったのではないかと個人的に思う。

パワーが6000に下がったことで、

というケースに非常に多く遭遇した。総じてパワーが1000足りないことで様々なカードとの連携が取れずにいる。

このように下方修正を受けるくらい強いカードであるには間違いがないが、7弾環境はフェニックスやツヴァイランサーなどを対策するためにシールドトリガーの枚数を増やさざるを得ず、デッキのドリームメイトの比重を下げざるを得ない=バッタンがデッキから抜けると判断されることが多かった。

進化クリーチャーではないので除去されても1:1交換で済む、といっても7弾環境で除去できる汎用カードはエターナル・ガードくらいしかない、パワーが高すぎて速攻デッキを対策するシールドトリガーがほとんど効かない、という理由から出されると非常に嫌がられるドリームメイトのダークホース的存在なのではないだろうか。

あとはなんとか、このカードにパワーを+1000させることさえできれば……

幻獣提督ウ―・ワンダフォー

ドリームメイトのマッドネス提督。もし場に出せたときはもう強いのなんの。

ただし、ケンジで出せなければデッキのスピードを殺してしまう諸刃の剣でもある、環境を見てデッキに入れるカードだと思う。一応フェアリー・ギフトから手札の枯渇した5ターン目に出せるが、紙の方ではそれをやってる暇がなかった。

シールドトリガーのホーリースパークや地獄スクラッパーなどとコストが被る。トリガー多めの「受け」を意識すると、デッキに入れる余裕がなくなってくる。

アクアポインターやダークサラマンダスなど、4~6ターン目に手札破壊を狙ってくるデッキが多くなったヴィーナスカップ後期では、わざとヤッタルワンなどで手札を消費し、このカードを手札に残すことでマッドネスを起動しやすくなった。またバンジョーからサーチすることで手札破壊に圧をかけることもドリームメイトでは可能。

5000のパワーと手札補充は本当に強いので、馬力が必要になる環境では常に一考したい。ケンジから踏み倒したときの展開力は非常に頼りになる。

が、上記のように汎用トリガーとの折り合いをつけるのがかなり難しいため、枚数調節にいつも頭を悩まされる。

ドラゴンの執事ニャンパッタ

ドリームメイトの珍しいドラゴンサポートクリーチャーが紙から若干の強化を受けて登場。どちらかというと、ドラゴンデッキに入るカードだと思う。

紙の方では本人が必ずアタックしなければならないため次のターンまで場に維持することが非常に難しく、コロコロのマンガのように活躍させることが難しかった。

しかし、デュエプレではケンジ・パンダネルラのコスト踏み倒しが必ず成功する調整を受けたことで、リンパオとニャンパッタのスピードアタッカー8枚体制(しかもコスト踏み倒し付き)ができるのでは!?と気付いてしまった。

自分が試した結果としては、ほぼニャンパッタが生き残ることはなく、手札のサファイアは死に札としてすぐにマナに行き、ケンジは場に出られなかった……。ケンジが場に出たとしても、踏み倒したニャンパッタがブロッカーに突撃してしまうためケンジの身代わり要員も居なくなってしまい、結果残されたケンジが袋叩きに遭うという散々な目にあってしまった(死に急ぎすぎだろ!!)。

自分には相変わらず使いこなすことはできなかったようだが、なかなかパンチの効いたドリームメイトデッキを組めたのは楽しく、途中マンネリしてしまったランクマッチにひとときのスリルをもたらしてくれた。一度だけあった、ケンジから踏み倒したニャンパッタが天門に止めを刺したときの快感は忘れられない。

密林の残兵ドーナ・ドナ

実は7弾ドリームメイトの中では、紙の方で後輩にあたるカード。不死鳥編で登場した他のドリームメイトに比べ、ドーナ・ドナの登場はふたつ後の時代の戦国編。

他のカードに先駆けてカードリストに載っていたときは驚いたが、しかし実際に使ってみると序盤のパワー要員としてかなりありがたい存在だったように思う。

効果は速攻デッキでよく見かける怒髪の豪腕や愛嬌妖精サエポヨと同じ種類のパワー上昇。場にクリーチャーさえ出ればありえない数値までパワーが上昇するため、ケンジ・パンダネルラなどでクリーチャーがどんどん場に出るドリームメイトではかなり強い。基本的にコスト3パワー5000のクリーチャーとして期待できる。

他の速攻系デッキや序盤からクリーチャーを展開するフェニックスにはかなり強気に出られる一方で、クリーチャーが場に出なければコスト3パワー2000が棒立ちになるため除去デッキには少し苦しいかもしれない。

またコスト3というのが絶妙で、サエポヨなどと違って6マナまで貯まらないと横に展開ができない。序盤では負け無しの一方で、マナを払って数を並べるのが苦手というドリームメイトの特徴を表しているカードだと思う。

紙の方ではパワーはあるもののイマイチ早さが足りず、デッキに入れたことがないカードだったが、デュエプレでその強さを知ることができたのは非常に嬉しかった。こちらもパワーがあと1000上げることができれば、レッドジャッカルで一瞬でwブレイカーに変貌することも覚えておきたい……。

早食い王のリンパオ

解体屋ピーカプを始めとする、火文明のコスト3スピードアタッカーのドリームメイト版クリーチャー。紙ではダイナモ能力でスピードアタッカーを味方ダイナモクリーチャーに渡せるという面白い効果だったが、デュエプレでは限定的なパワーアタッカー効果となった。

効果が単純化したとはいえ、速攻デッキにスピードアタッカーを組み込めるのは非常に大きなメリットであり、最序盤で登場したドリームメイトのなかでも一際大きな役割を持つカード。

特にドリームメイトはケンジ・パンダネルラなどでコスト踏み倒しができるため、運が良ければデッキからリンパオが颯爽と登場し一気に勝負を決めにかかることができる。

また猛烈元気バンジョーを始めとするサーチ手段をもつドリームメイトと大きなシナジーを形成しており、後半の手札切れの状態からスピードアタッカーのリンパオを用意できるのは非常に頼もしい。7弾環境では除去デッキに手札破壊カードが採用されにくかったため、手札に呼んだリンパオ1枚で勝負が決まることも多かった。

火文明コスト3スピードアタッカーは相互互換カードがかなり多く存在するものの、リンパオはドリームメイトという種族の中で多くの役割を担っており、デッキの柔軟さを底上げする貴重なカードの1枚だと思う。

弾け山のラルビン

貴重な火文明コスト2のドリームメイト。なんと言っても単色カードでありながら自身の効果でパワー3000に上がるのが非常に強い。

コスト2の速攻向きクリーチャーとしてはパワー4000の無頼勇騎ゴンタが既に登場しているが、多色でたまに色事故を誘発するそちらと違い自然文明を織り交ぜれば単色でパワー3000まで上がるのはあまりにも手軽で、堅実な効果だと言える。

7弾までデュエプレで実装された、攻撃できるコスト2パワー3000以上を達成できるクリーチャーは

くらいであり、そのどれもがマスターランクの速攻デッキに組み込まれることがあるカードたちだ。これらのカードと比べると、マナに火と自然があるだけでパワー3000を達成できるラルビンはもしかすると地味かもしれないが、しかしあまりにも手軽に召喚できる優秀なコスト2のクリーチャーといえるだろう。

特にドリームメイトデッキではケンジ・パンダネルラやゴリランボーの進化元になれるかは重要であり、ヤッタルワンやチクタク・キューンが採用率の非常に高いファントム・バイツで破壊されるのに対して、ラルビンはそれに持ちこたえられるのがすごい。

またドリームメイト以外のデッキでも、火文明入りの多くの速攻デッキの基礎パワーを底上げしている功績も見逃せない。一見地味ながらもデッキを影で支える縁の下の力持ちといえそうだ。

霊騎幻獣チクタク・キューン

7弾ドリームメイトのなかでは能力なしのバニラクリーチャーで、さらに登場時期はドーナドナよりもひとつ後の神化編の基本クリーチャー。

正直なところでいうと、コスト2の超激戦区の紙のドリームメイトデッキでは抜けることが多いカードだった。初心者が手に取りやすく扱いやすい、というのが本来の役割だと思うのでそれは仕方のないことだが、それでも7弾デュエプレではドリームメイトの貴重なコスト2クリーチャーだと思う。

普通に召喚してもそんなでもない、ケンジ・パンダネルラから踏み倒すなかでも地味……ではあるので、7弾のシールドトリガーを多く積んだ受け構築のドリームメイトでは早期召喚するメリットもそんなにないため、これを外してフェアリー・ライフや幻緑の双月を採用されることが多かったようだ。

しかし、序盤から積極的に攻撃を仕掛ける火自然型のドリームメイトではほぼ積まない理由がないカードであり、自然に光を少し入れたドリームメイトでは必須カードだったように思う。

というのも初動で攻撃できるカードが場に出せるか、進化元が用意できるかはドリームメイトの死活問題であるため、7弾でたった3種類しかいないコスト2ドリームメイトは最大でも12枚までしかデッキに入れられない。それが同系の速攻デッキやダイヤモンド・ブリザードなどは20枚以上デッキに入れることができるため、どうしても安定性で劣ってしまっている。横展開もしづらい7弾環境ではコスト2は本当に貴重だったように思う。

フェアリー・ライフ問題のように、どうしても2ターン目に使いたいコスト2のカードを7割以上の確率で引くためには、デッキに8枚は入れなければならないという確率論がデュエマには存在する。そこでラルビン、ヤッタルワンの8枚に加えてチクタクキューンを何枚加えるかで、ドリームメイトデッキの使い手たちは安定性をそれぞれ調整していたように思う。

逆に言えば、チクタク・キューンは何も考えず4枚積めば良いカードではなく、どれだけこれを採用する理由をもったデッキが組めるかという、引き算のデッキビルディングの腕を試してくる良いカードなのではないだろうか。

例えば相手のデッキがドリームメイトだった場合、このカードが見えるか見えないかで相手が速攻を重視しているかトリガーでの受けを重視かを推測する材料にできるのは非常に面白いと思う。結果的にこのカードの存在が、7弾環境のドリームメイトを従来の「火自然速攻型」、安定性を高めた「準自然単型」、バトルアリーナ3rd決勝進出した「自然水光受けトリガー型」の少なくとも3つのタイプに派生させることに貢献したのではないだろうか。

数多いコスト2のドリームメイトの中から、まずこのカードが選ばれて実装されるところに、デュエプレの奥深さを感じるのだがどうだろう。

今後とも、よろしく

ここまでずいぶん長文でドリームメイトについて語らせてもらってしまった(最後まで目を通してくださった方、ありがとうございます……)。

いざランクマッチでデッキを組もうとすると、7弾で実装されたドリームメイトはどのカードも何かしらの役割をもっていることに気付かされた。デッキとして、環境的には第一線級……とは呼ばれなかったものの、そのケンジ・パンダネルラを始めとしたポテンシャルの高さで存在感は発揮していたように思う。

まだカードプールが浅いながらも、じっくり考えてみると意外と良いデッキが組めて、さらにそこそこのバリエーションも持たせられるということは、さすがはデュエルマスターズの長年積み重なったノウハウが為せる技なのかもしれないなと考えさせられた。

2021.2.17現時点で、8弾でもドリームメイトはまさかの2枚目のSR枠を獲得しており、続くプッシュに戸惑いが隠せないのだが……きっとランクマッチでも引き続き楽しませてくれるのではないかと思う。紙にはいなかった重要な新規カードも獲得しているので、もう持っている知識は通用する気がしないが、そこがまた楽しみどころのひとつだろう。

今後とも、よろしくな!


前編もあります。こちらもどうぞ!

7弾ドリームメイトを愛でる(1)